休園日
七
霧吹きのような雨はふかみどり
胸の奥まで吸い込んで
わたしは森になる
しばらくすれば
じゅうぶんに水を含み
耳を傾ける
彼らは
永遠を指し示すことばを探す代わり
おうん とも あうん とも言う
アザラシの甘い声がキリンに届き
フクロテナガザルの愛がこだまする
くちびるのなみだ
いきていることは湯気のようだ
なにも欲しがる必要のないヤマネコは黙って目を閉じる
しとしと
しとしとと
続いていくものに
胸をなでおろす動物たち
遠い故郷を知らず
この国を知らず
地球と名づけられていることを知らず
呼ばれる名前の意味を知らず
月曜日を知らず
向こうで途絶えるの鳴き声の主を知らず
たよられたことを知らず
あたえたことを知らず
昨日も明日も知らず
こういう雨の日であれば
掌をみつめる
と
なにひとつはね返らず濡れていくのでそれらは
やがて深緑の雫となる