研ぐおんな
石田とわ

    米を研ぐ
    それは繰り返される日々の儀式
    手のひらにあたる米粒はかたく
    米どうしがぶつかりあい
    じゃっじゃと音をたてあう
    このかたいひと粒ひと粒が
    あんなにもふっくらと艶やかに
    変わるとはなんと不思議な
    炊きあがれば甘い香りを漂わせ
    昔懐かしい匂いがわたしを満たす
    それがやすらぎなのか安堵なのか
    わかりはしないがただ満たされる
    いつかわたしがもっと歳をとり
    しわくちゃな顔で息をひきとるその間際
    炊きたてのご飯のような甘さを
    懐に隠しもつおんなでいたい
    そうなれるよう明日のために
    今夜もぶつかりあう米を研ぐ




      
    


自由詩 研ぐおんな Copyright 石田とわ 2016-02-11 23:46:04
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