研ぐおんな
石田とわ
米を研ぐ
それは繰り返される日々の儀式
手のひらにあたる米粒はかたく
米どうしがぶつかりあい
じゃっじゃと音をたてあう
このかたいひと粒ひと粒が
あんなにもふっくらと艶やかに
変わるとはなんと不思議な
炊きあがれば甘い香りを漂わせ
昔懐かしい匂いがわたしを満たす
それがやすらぎなのか安堵なのか
わかりはしないがただ満たされる
いつかわたしがもっと歳をとり
しわくちゃな顔で息をひきとるその間際
炊きたてのご飯のような甘さを
懐に隠しもつおんなでいたい
そうなれるよう明日のために
今夜もぶつかりあう米を研ぐ