雪道
いねむり猫

さくさくと踏み抜く足跡が
ほとほと燃える命の 居場所を教えている

小さな命が 耐えているのは
山道のけわしさより 母の病

雪原に 山影から
眩しい日差しが 差し込んで
今日半日の 暖かさを告げている 
鳥たちがはしゃいで 
青空に抜けた林の中を
飛び交う

「今日は、お汁粉を作っておこうね」
と、母親が送り出してくれた
小さくうなずいただけで
雪かきをしていない家を飛び出した

下ばかり見ていたので
少し道をはずれてしまった

目の前に 友達が教えてくれた古木が 
朝日を隠している
フクロウの巣があるあたりを
そっと見上げて
また 学校への山道を下り始める
 

父は ずっと 帰ってこない



自由詩 雪道 Copyright いねむり猫 2016-02-04 05:19:13
notebook Home 戻る