虹の後始末
nonya


真っ赤な嘘っぱちを
誰も見抜いてくれなかった

橙色の夕日にとろけそうな
もはや追う者もいなくなった
逃亡者の長過ぎる影

気味の悪い戯言を並べた
ノートの頁は哀しく黄ばんで

いつまでも緑葉であろうとして
枯れ枝の先にしがみつく未練

真っ青な空に猫背を向けて
風に逆らうこともなく
卑屈に折れ曲がった道を歩いた

肋骨の下の藍色の闇で
消すに消せない埋み火が嗤うから

紫がかった諦観のようなものを
これ見よがしに羽織って
今日を生き長らえてみる

とりあえず生き長らえてみるのだが

くしゃくしゃに丸めた
夢や憧れや妄想の始末書を
ただ片付けるためだけに
休日の大半を費やしたくないのに

気がつけば初回特価で
またしても虹の起点を買っている
情けなくも愛おしい自分がいる




自由詩 虹の後始末 Copyright nonya 2016-02-03 20:46:21
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