shitone
草野春心



  蓬色の夜、
  つぶれたしとねに居て
  夥しい数の接続詞らが
  わたしの躰の至るところで
  いっせいに哄笑をはじめたので
  何か 訳のわからない一塊の
  つぶてじみた物体になったようなのだ


  書物が一つ
  傘のついた照明が一つ
  理由のない悲しみが一つ
  あらゆるものの存在が
  一つひとつ 喉を押しひらき
  わたしへと入ってくる……蓬色の夜、
  それらはわたしの奥で 母に似た掌で
  液状に 闇のなかへ つぶされていくのだ
  



自由詩 shitone Copyright 草野春心 2016-01-31 11:26:31
notebook Home 戻る  過去 未来