ノート(たなびく日)
木立 悟






灰色の空の下
灰色の占い師たちが
灰色の広場に集まっていた


占いの順番を待つ行列を
灰色の煙がすぎていった
螺子を横に倒したかたちの
巨大な灰色の建物を
人々はまばらに出入りしていた


さまざまな色にまたたく
小さな光の玉を追って
子らは広場を駆けまわっていた
玉は常に 煙に覆われていた


煙に触れると少しだけ痺れ
玉は手と磁石の同極のように反発し
前へ前へと逃げていった


止むことなく風が吹いていた
広場の石はどこまでも磨かれ
空の灰を
風の音を映していた


何処かへ飛び去る鳥の腹を
光の玉が時おり照らした
占いを待つ人々の服は
どれもみな煙のようにたなびいていた


煙はさらにさらに濃くなり
占い師と人々を取り囲み
子らは光の玉を追い
灰の広場を駆けつづけた
























自由詩 ノート(たなびく日) Copyright 木立 悟 2016-01-28 09:21:02
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