永久凍土が燃えている
るるりら

          【燃える一週間】

          大切な行事のための火は尊いけれど
          大事に至ってしまった火もまた うるわしい
          漆黒の空に 炎の荘厳が揺れる
          近づけば 火の元の人影が右往左往
          素朴に真剣に不安を叫びを
          火は 託されて 抒情詩の子鬼らは天に昇って行く
           あの子鬼たちに 私の一週間の唄を 捧げます

月曜日に 山に出かけ すべて切り株にします
修羅修羅修羅修羅修羅しゅ らら 修羅修羅修羅修羅修羅ら
火曜日に 槙割りをして 水曜日に水辺で水汲み
修羅修羅修羅修羅修羅しゅ らら 修羅修羅修羅修羅修羅ら
木曜日に 花に 「おはよう」と ご挨拶 金曜日に贅沢品だと けなします
修羅修羅修羅修羅修羅しゅ らら 修羅修羅修羅修羅修羅ら
金曜日に あることないことなげきちらし土曜日には歌をうたってばかり
修羅修羅修羅修羅修羅しゅ らら 修羅修羅修羅修羅修羅ら
ともだちよ これが私の焚書です あなたも火種を頂戴な
日曜日には やっとこさ すべての言葉を燃やします

修羅修羅修羅修羅修羅しゅ らら 修羅修羅修羅修羅修羅らああああ





【永久凍土】

永久凍土が 燃え盛る
箱詰めに閉じ込められていた自由の扉が、
化石燃料で 燃え落ちる
なにもかにも四方八方 穴ぼこだらけ

夏の花咲く昨日の庭に、今日は 雪が積もった
極楽には四季の花が一度に咲いているというけれど
地獄など望んだこともないけれど
自由奔放に四季が同居する庭が
楽しいだけの場所とは思えない

永久凍土は燃えている
さまざまな言語で叫ばれている言葉
永久凍土が燃えている
大地の末梢神経が紅く腫れている
大量のあらゆる生き物の屍が 燃えている
あなたと私を結び付ける合成接着剤も 燃えている
この世にある中身があるものすべてが燃えている
錫を巻き上げ燃えている

激しく燃える火の粉の中に
ひとひらのあわい雪
まあたらしい朝のためなのか
しだいに雪。 どんどんどん
どん降り積もる
夏服の人間の肩にも
降り積もる



【オツムには きっとある】

いちばん年少の哺乳類の どの頭蓋骨にも
デカルト座標のような十文字がある
重いオツムで、重力加速度を加味して 自分の体重を誤差なく割りだそうとし
滅亡の唄を作曲し その方法を精緻な図面にもしながら
パンツの重みほどの誤差で 誤作動するかもしれないと おびえている

心臓のあたりの胸腺は
魚だったころから受け継いだ 自身を守る力の印
大人になると うしなわれる太古の力が
僕らにも受け継がれているというのに
闇におびえる人間たちは 強大な光をつくり さらに自身の首をしめる


橋の下の魚は
あんなに やさしいひかりのなかで
いまも およいでいるというのに



*************
この三作品は、メビウスリング【前レスの詩を、自分の詩に翻訳する】と云うコーナーに参加させていただいた作品を オムニバスと致しました。よって ほかの方の詩の影響を強く受けています。
http://mb2.jp/_aria/850.html#S34


自由詩 永久凍土が燃えている Copyright るるりら 2016-01-19 11:17:00
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
メビウスリンクにも投稿した作品