神の座
いねむり猫

島の西側には 人は住まない

西方浄土に開かれた島

穢れのない 輝く砂浜が 所々に小さく開かれて
海からの精霊たちが 少しの間休むための 青の洞窟

島を縁取るガジュマルの分厚い林が 分けようとするのは 

人の住処 と 神々の座

ガジュマルのねじれて絡み合う根のような妄執 と
空と海を区別しない大地の時間

黒く垢にまみれた船板 と 流木の白さ

海辺ではしゃぐ子供たちの声 と 嵐の夜の咆哮

強い酒に瞳を濁らす男 と 潮風に孤独に座す老婆


この島に人は似合わない

それでも 神を思う人が 密かに住む

神の座を心に置ける人だけが


自由詩 神の座 Copyright いねむり猫 2016-01-03 12:29:39
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