感情のみで書いた詩
陽向∮

不安そうな目で僕は毎日毎日生きている。そんな僕に言いたい、子供のままでいいのだよと。
しかしながら、そんなことを言ってみても、そう呟いている自分も不安そうな目なもんだから、僕はますます不安になる。
色んな夢を思い描く、例えばその中に、芸能人になりたい、という最も幼稚な夢が存在し、何故か、と聞かれれば、楽で面白くて大金が稼げるという発想がまず浮かぶ。
その次に、天才だと自分を信じていることを、他人にも信じてもらいたい、という欲求だ。しかしながら…

このしかしながら、という出来ない理由が、とても未熟な僕が、思い浮かべた夢の儚さを、大きく語る。
それは、大きな岩に潰された蛙の姿が見えなくて、一々ああだ、こうだと見物するのにさえ、うんざりしている野次馬の気分で、鼻から持ち上げる気などないという感覚。
蛙がまず大きな岩を持ち上げることなど、出来るわけがないのだ、と潰された蛙の僕は、その苦しみを味わいながら、やめたやめたと大きな岩を払いのける。
その払いのける手は巨人並に大きい。

とても真面目な顔をしてしまうと、僕はそのとたん憂鬱になってしまう。憂鬱になると、とても不安そうな目になり、ただのつまらない現実を真面目に語り出す。
子供のままでいいのだ、大人の身体なら、力強く子供の様に生きればいい。実際、心は生まれた時から何一つ変わっていないのだ。

詩は頭で書く物ではない、感情だけで書くものだ。

駅のベンチで 小説を読む
文章を追いかけていながら
高校生の頃 鼻くそが小説のページにべったり付いたことを思い浮かべて
鼻をひくひくさせた
162ページで栞を挟み
なんか飽きた冬の風に身を縮ませる

遠く、あの頃と変わらない空。


自由詩 感情のみで書いた詩 Copyright 陽向∮ 2015-12-28 01:09:41
notebook Home 戻る