二〇一五年十一月二八日 ー ゴーヤと朝顔の物語 ー  
イナエ

一時寒くなった初秋が過ぎて
再び訪れた夏日の朝
何を血迷ったか朝顔が起き出してあたりを眺めている
 なんか気の合いそうな方が芽ぇ出しとりんさるがな
 おみゃさん ひょっとしたらゴーヤさんやないかね 

不意に呼びかけられてゴーヤは応える
 そうやけど
 ぽかぽか陽気に目ぇ覚めて 芽ぇ出したらえろう寒いがな
 わたしゃ じりじり焼けるような暑い日が好きやでな
 ところで この赤い花はなんやろな
 
朝顔 
 さっき通った人が言っとったけど 椿やそうや 

ゴーヤ 
 椿かね こんな赤い花をさかせるんかね
 ところで あんたの居る所 南天の藪の中でないかね

朝顔 
 あらま 赤い実がついとる
 変やなあ こんな南天見たこと無いがな

ゴーヤ 
 なんやら様子がおかしいでぇ
 周りは枯れ枝やら枯れ草が積もっとるし
 季節間違っとるのかな

朝顔 
 おみゃさんもそう思やあすかね
 どうしましょう
 今更引っ込めることできへんし
 このままだったら死んでしまうがな
 でも 一花咲かせたいわなぁ

ゴーヤ 
 おーい
 人間さんよう なんとかしてくれや
 こんなことになったんも
 あんたらぁが悪いんやでぇ

ゴーヤ・朝顔 
 なあ なんとかしてくんさい
 聞こえんふりしてないで
 責任取ってくんさい


自由詩 二〇一五年十一月二八日 ー ゴーヤと朝顔の物語 ー   Copyright イナエ 2015-12-23 18:40:56
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