早朝
葉leaf




この薄暗がりの中
木々も鳥たちも
滅びゆくと同時に栄えゆき
語ると同時に沈黙する
数限りない両義性を込めて
早朝は傾斜を深める
この論理的な時刻
介入する倫理はなく
大地には言葉が敷き詰められている
人は一つの言葉を選ばなければならない
その言葉を履いて
人は今日の歩みを始めるのだ

動くものがないのなら
距離など意味がない
すべてが静止しているこの時刻
すべては中心から同じ距離にある
早朝において
すべては一つの球面に貼りついている
この球面を高速で回し続けているのは
神の血まみれの死骸だ
神は死骸となり滅び尽きたころに
ようやく世界に君臨するようになった

存在は嘔吐を繰り返す
嘔吐することが
自らの存在証明であるかのように
だが嘔吐の蠕動だけがあり
嘔吐される内容はない
早朝は生理的な時刻
欲望も大気にみなぎっているが
無限を欲望するので
欲望は決して終焉しない
ものみな読書の殻にこもれ
この早朝の奇怪な法則から逃れる準備をせよ


自由詩 早朝 Copyright 葉leaf 2015-12-16 06:48:17
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