ハレーション
Seia
整いすぎた飛行機雲と勘違いしたのは
電線に反射した一線の太陽
その奥に流れていく雲のはやさで
風向きと速度を予測する真似事
手元の時計は
一時をすこし回ったところ
乗りたかった電車は
もういってしまったから
手持ち無沙汰をフリスクでごまかす
目の前を通りすぎようとしている
シルエットに見覚えが
あるようで
うん
どうだろうか
写真がありそうな場所のタンスを
引っ掻き回しても
あんまり思い出したくないプリクラが
切り離されないままの数枚
よくわからないものは
よくわかるまで
よくわからないままにしておいたほうが
悩みつつ肩に手をおきかけたところで
振り返った顔は自分だった
なんだわたしか(わたしか?)
あ、すみません(
一言投げてベンチに座り直す
あの服はたぶん
一ヶ月ほど前に着ていたものだ
設定間違えたかな
なんだかすこし酔ってしまった
どうにもまだ
この世界に慣れなくて
かちゃりと
HMDを外して見た
窓の外の一線