良心
伊藤 大樹
愛 と云うとき
世界がこんなにも憎しみに曇るなら
重い靴をはいて
そしてもう二度と 愛さない
それは ゆるやかなひとつの堕落
最後の刻を待てずに
底なしの憎しみの拳をふりあげたあなた
ひとつの読めない本
苦い食事
気づけばいつも
そのとなりに あなたはいた
罪 と云うとき
ついに名づけられなかった罪は
ひそかに 苛烈に 燃え尽き
重い非語を抱いて
そしてもう二度と 罰しない
自由詩
良心
Copyright
伊藤 大樹
2015-12-09 22:58:01