夕映え
レタス

あなたの面影は
白い石鹸の匂いと
サイダーの匂いがした

おかあさん

何処に往ったのですか

ぼくはいま
武蔵野の林を歩いています
あなたを探しながら

足跡は何処にもみえない
落ち葉を踏みしめても
何も残らないのは知っていた

ぼくは夕暮れの残照が欲しかっただけで
あなたが戻ってくるとは思わない

化石の森の
狂った時計たちは
正確な秒針をカチカチ鳴らし
夕暮れを誘っている
モノクローム写真のように

ぼくは時計たちに包まれ化石になってゆく





自由詩 夕映え Copyright レタス 2015-12-09 18:48:48
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