『自営業』
座一




今 何時かな
早く 仕事終わらないかな
お客さん あんまり来ないでほしいな

チャリンチャリんと 千円札が飛び交う
万札なんて 出てきたら 「センパイ助けて~」
休憩しますよ
お菓子食べよう
掃除だって お客さんだって
ほかの人に 任せておけばいい

困れば いつだって
逃げる場所は 傷口付近
要領がよくないくせに
片手間で やり過ごそうとする
甘ったるい じぶんに 喝だ!

ひなた向かい この明るみを
傾けるわけには いかない
考えるのは
律するべきは
ほかでもない私で

ひなた向かい 木漏れ日のなかで
揺れている手と手を結ぶ
汗流して
全力尽くして
自分を自分で 誇れるように

千代おばあちゃんの金歯が光った
岩なべさんが ゆきさんが
みんながみんな ひなたに集って
院長の眼鏡が いつもどおりの安定感で
もりもりのお姉ちゃんの命が ケタケタと笑っている
あそこには元気しかないから
元気になって帰るしかないんだよ

そう言ってもらえるように

悔し涙がにじむぐらい
真剣な自分になってみろよ
文句言われて やおもてに立て
自分のダメさを 思い知れ

そうしてしか得られない
がんばりま賞が 
最高のおくりものだってこと
いやいやな顔が いやいやな顔を呼ぶように
笑顔が 笑顔を呼び込むよ

磨かれていく魂
よくできましたの花丸

背筋を正して
気配りを忘れず
たとえ時給100円でも
長者番付ランクの仕事ぶり

働いて お金をもらう < 働いて 認めてもらう

お金よりも大事にしたいものがある
そのためには 努力を惜しまず 妥協せず
熱い涙 込み上げるぐらい
一生懸命に駆け抜ける 

いつだって そんな自分でいたいから
今日も元気に

いってきます!






自由詩 『自営業』 Copyright 座一 2015-12-02 23:34:41
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