真白
瑞海

真白になった
彼女の肌の小川に流れる純粋
くるくるまわった
私には得ることのない美しさ

美しさって
死を内包しているような
気がする
可愛さに絶望
美しさに絶望
比較的後者の方があり得る
気がする

ネオンライトが浮かぶ街の
ど真ん中に立つ君は
涙を振り撒きながら
冬の夜を裸足で
真黒のワンピースを着て
人の間をするりすり抜け
街の西の果ての廃墟ビルの
これまた古い非常階段を

どんどん
どんどん
私はワンピースを
掴み損ねた
どんどん
どんどん
彼女はいつのまにか
大声で笑った
どんどん
どんどん
どこまであるんだ
この階段は
どんどん
どんどん
どんどん
どんどん

背の高いビルに囲まれた
屋上の空は低い

還る前に
ひとつ伝えたいことが
あったん、だけ、ど
忘れちゃったから
また来世で

そう言って飛んだ彼女を見て
私は美しさのあまり
ぼうっとしてしまって
空に圧死された




自由詩 真白 Copyright 瑞海 2015-11-30 00:45:01
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