フタリノセイカツ
湾鶴

灰が積もってゆく
鬼百合の傘をさしていると
晴れた日のようだ
 初雪ですね
 はい、きれいですね
火山灰は肩に降り積もる

  *

葉がチル
玄米茶のスカートをはいていると
町に隠れてしまいそうだわ
 大雨ですね
 はい、きれいですね
銀杏の小川に浸かり歩く

   *

満月が登りつめる
明かりを消して
はじめてそれに気づく
 忘れ物ですね
 はい、きれいですね
漆黒が忘却した月に眠る


自由詩 フタリノセイカツ Copyright 湾鶴 2003-11-11 07:44:18
notebook Home 戻る