utsusemi
草野春心



  或る糸が……否、
  生温い 呼気に似た
  細ながく冷たい白さが
  頭上から垂れてくるのを
  待っている……夜に、私は
  その影が たとえば ツルリとした
  薬缶のおもてに映り がらんどうの眼を
  突き刺すのを待っている (私たちを)
  撃ち砕くのを
  踏みにじるのを




自由詩 utsusemi Copyright 草野春心 2015-11-22 22:17:50
notebook Home 戻る  過去 未来