パズル
あおい満月

夜が皮を剥いで、
真っ赤な朝を迎えたような傷が、
手のひらに滲んでいる。
あなたは見えないナイフを手に私を傷つけた。
けれど、
ナイフを持たせたのは私だった。
私は鏡のなかの私に刺された。



(かかわり合いたくない)
かたくなに扉を閉ざした、
私というあなたは、
夢の鞘に閉じこもって幻想を浴む。
たとえ犠牲を孕んでも、
守りたい人形のために
絵空事をなぞる身体は、
外界からの不思議な視線をも突き破る。
その姿は、モノクロの私だ。

**

古い写真を覗けば、
感情のないさかなの目が私を視ている。
かみあわないパズルを
ずっと握りしめていた。
だからそれがナイフになり、
私は私にギリギリと傷つけられた。
信じてはいけないものを信じていた、
モノクロの私は。


自由詩 パズル Copyright あおい満月 2015-11-17 22:09:45
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