花と犬
山内緋呂子
大通りに
白き牡丹を見つけたならば
飼い主の顔を覚えし お犬さまが
「暮らしたら犬を飼おう、君」の声が
「君」
犬をなでれば 君は
尻尾の先に
「花を持ってきたよ」
と鳴く
鳴くんだ泣くんじゃない
鎖骨から 入ってきて
いつも首の開いた服で
二足歩行
君がいなくなってすぐの私をあなたは見ただろうか
煙草を吐き捨て犬を殺したいと思い
「君は記憶力がいいね」
その時には、犬を飼わなかったこと、暮らさなかったことを
全部忘れて、満足するんだ
吐き捨てた 煙草の
それ
どうか溝淵に投げてちょうだい
吐き捨てた煙草の
それ
#即興投げ捨て詩に候