ノイズ
高橋良幸

街がジオラマに見えるのは、音もなく電車が走っていくからだわ
遠くの雲が雷鳴しているのをわたしは歓声をあげてみていた
駐輪場に折り重なったそれぞれの帰り道は
街灯が濡れ始めたときにどこまで辿り着けているでしょう

冷たい空気は不思議と窓の外に在るとわかる
それが俯瞰という目の位置のひとつの意味だ、と
ため息が曇らせる、季節が変わろうとしているのに
メールの言葉じりで手をこまねいている、わけにいかない

知ってる?
わたしが、
知りたい
変わる
あなたが
突然の
木枯らしに
驚き
並んだ
二人の
息遣いが、
はぜるとき
まだ
夕暮れは
きていなかったけど
違った
違っていた

ノイズ

こんど晴れた日に誘って、まだ温かく
よく晴れた日に響いた、壁ごしに柔らかく渾然として、そしたら
わたしは洗いかけの食器を放っていかなくちゃ
あの日差しと、匂いとすれ違うことはもうないから


自由詩 ノイズ Copyright 高橋良幸 2015-11-09 20:45:40
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