現代詩フォーラムの歴史とポイント制への考察
kaz.

現代詩フォーラムは、リニューアルを挟みながらも、もっとも長く続いているサイトである。今ではこのサイトの馴れ合い性などが批判されることが多いが、もとは批評したい/されたい人が集まるサイトであった。現代詩フォーラムは1997年に、ニフティサーブにあった詩のフォーラムの批評してほしい系のスレッドの住人によってニフティサーブに開設されたのである。片野晃司、田代深子、奥主榮、大村浩一、白糸雅樹、川村(故人)、岡実、阿ト理恵、田添明美、八坂堂周平らがいた。開設当時のパソコン通信のスタイルは、今の2ちゃんねるとほぼ変わらないスレッド式で、投稿されたものが流れっぱなしになるというもの。どんどん消えるため、保存しておきたい場合は、各人が別ソフトを使って個別に切り出していた。また、現代詩フォーラムにはイベント系のスレオペ(スレッド・オペレーター)がおり、スレッドを盛り上げるのに一役買っていた。2003年にリニューアルした後は、現在のようなポイント制になり、メッセージの個人的なやり取りもできるような、そんなサイトになった。

であるがゆえに、私はポイント制への批判の大半は的を得ていないと感じる。彼らが言うのは、ポイント制が他者性を失わせている、ポイント返しなどが常態化し馴れ合いになってしまっている、などというものである。しかし、そのサイトの元々のポリシーとして、批評し合って高め合いたい、現代詩を盛り上げたいという意志があったのであり、そこには詩の衰退への危惧、他者を求める人の心があった。現在では批評する人は少なく、もっぱらポイントのみに終始しているという難点はあるが、その分評価の基準が明確になり、優れた作品を見つけやすくなった。そういう意味で、ポイントが多数入っている作品ばかりが良いとは限らない、という主張は、過去の優れた作品に溢れていた時代に対するルサンチマンとも取れる。過去にはネット回線そのものが有料であり、優れた作品を見つけるのにも時間がかかったが、その分作品の質も高かったのである。

ではこれからの我々はどうすれば良いのだろう? 提案としては、ポイント交換も詩における一つのコミュニケーションだと思って、甘受するのが良い、というのがある。残念ながら私自身そういうポイントの入れ方をしたいとあまり思わないし、コミュニケーションも大切ではあるがそれをやりたいかというとあまりそういうのが得意な方ではない。現代詩フォーラムは、50選などの選考によって、もっとも現在ではあまり行われてはいないようだが、独自の発展を遂げている。私は詩が人々の心の支えとなることを祈ってやまない。


散文(批評随筆小説等) 現代詩フォーラムの歴史とポイント制への考察 Copyright kaz. 2015-11-05 07:44:38
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