いろはにほへとちりぬるを
ユッカ

働いていないと自分が誰だがわからなくなる
わたしはいったい誰だっけ
全く逆のことを働いているときも思っていた
結局自分を掴みそこねている
わたしからは逃げられないんだ
ひどいな

夕焼けのにおいがするんだよ
今月になってからずっと
体にしみついて消えない
空が燃えていくにおい
さようならのかわりに渡す
薔薇のような

免許や資格がないと自分がわからないなんてバカみたいだから
ほんとうは仕事なんてやめて 一思いに狂ってしまいたい
そうしたらやっと思い出せる気がする
たとえば自分のにおいとか
動物だったころの記憶を

でもさ
動物になってしまったら 自分以外のこと きっと忘れてしまうだろうから
あの人が生きているうちは
夢を見ているのかもしれない
人間の夢を 
酔っぱらって


自由詩 いろはにほへとちりぬるを Copyright ユッカ 2015-10-30 22:05:15
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