牛の首
春日線香

納戸に牛の首の男たちがいて
いつ見ても
輪になって下を向いている
一体何だろうと思って
家族に訊ねてみると
別に気にしなくていいんだという
皆に了解されているのならば
害をなすこともないのだろうが
やはり気になるものは気になる
飲食も睡眠も必要としない様子で
はたして本当に生きているのだろうか
冬の夜にはじっと俯いたまま
青白く光っていることもある
話しかけたことはない


自由詩 牛の首 Copyright 春日線香 2015-10-08 19:50:05
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