漁師
葉leaf


年老いた漁師が舟を出す
どんな嵐の日でも舟を出す
獲物を市場で売り
貧しい食事をとる
変わっていくのは彼の目の色だけ
段々鮮やかに
朝焼けを映すようになってきた
波に翻弄され
嵐に手ひどくやられても
ひとつの純朴な意志として
舟を出すことをやめなかった
彼はある嵐の日海で死んだ
傷つき疲れ果てた彼の体は
死んでもなお強い意志を持ち
腐ることを百年も拒み続けた




自由詩 漁師 Copyright 葉leaf 2015-10-08 06:14:36
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