通勤電車
葉leaf



通勤電車の中の人々は
何者でもない
父親でもなければ
サラリーマンでもない
家庭と仕事のどちらにも属さない
ひたすら窓外がまぶしいだけの
振動が心地よいだけの
空白の時間に漂っている
何者でもない人々は
あっという間に広がっていき
電車の空間の中に紛れてしまう
もはや自分の中でも迷子になってしまい
スマホや本の中に目的地はなく
意味もなく欠伸でもしてみる


自由詩 通勤電車 Copyright 葉leaf 2015-10-07 04:24:32
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