きてひかりは
はるな



夜、よるが終って朝がくる
来た、朝がきて、光は

体のかたちに心を整えるが
ほんとうは心のかたちにからだを沿わせたい
紺色のクローゼットとか壁の白とかも、
でも本当にしたってそんなにかわりない

夜、よるが終って朝がきて、来た、光は

そうして昼間のあかるいときに、
そらぞらしいたくさんに会釈をしてわたしたちがあるいている
歯の痛みや石の重さについて議論する、もちろん、
割れた鏡についても。
しかし壁の色についてはけっして言及しない、
わたしたちはいつも、自分のできることを
すくなく見積もることにしている。

はみだした色たちについてはまたべつで、
それらは注意深く観察され、保護され、ときどきは廃棄される。
すべては起こり続けている、
わたしたちは、夜に夜をすごし、朝に朝をむかえるために
歩いたり、整えたり、笑ったりもする。

ときどき、夜がこない
夜がこないので、朝も来ない。
時計は動いているが、わたしたちは、じっとして、
心を動かさないようにつとめている。
それは本当ではないように思われるので
思われるのに、証明されないので、ただただ、じっと息をひそめて、
まっている。

まっている、いつも、ただ夜や、夜をすごすわたしたちのために
けれど、たち、がとれてしまったら
もう待つ理由がなくなって
夜も、朝も、いっぺんにきて光は、
光はまっくらに灯ってしまった。









自由詩 きてひかりは Copyright はるな 2015-09-30 22:04:01
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