一欠けらのパズル
まーつん

君は行ってしまった

一度背中に翼が生えたら
羽ばたかずにはおれない鳥のように
遠い所へと飛び立っていった

きっと、その心は
この地上に縛りつけておくには
余りにも自由すぎたのだろう

肉体は重しとなって
僕らを日常に引き止める
そこに安らぎを見いだせる者もいれば
ただ、息苦しさにあえぐだけの者もいる
そう、君のように

でも、どうして
命を投げ捨ててしまったんだい
どうにもならないことで、
自分を責め続けていたのかい

君は、こう言っていたね
自分は間違った絵の中に迷いこんだ
パズルの一かけらのようだと

どこにも居場所がなく
さ迷い歩いた挙げ句に
やっと見つけた小さな隙間に
我が身を押し込もうとしても

何かが引っ掛かり、どこかが足りなくて
どうしても、ぴったりと収まることができなかった

血を流しながらも
自分の形を変えようとして
どれだけ苦しい思いをしてきただろう

そんなあがきに疲れて
君は、とうとう
この世界に背を向けてしまった

でも、きっとどこかに
君という存在がなければ
決して完成しない
美しい絵があるはずなんだ

ここよりも、ずっと
素晴らしい世界が





自由詩 一欠けらのパズル Copyright まーつん 2015-09-29 10:02:33
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