美しい馬鹿
ただのみきや

ある日馬鹿うましかは恋をした
とても美しい理念に

薬はなかった
あっても飲みはしないだろう
なにせ

夕日を浴びた馬鹿うましかの群れが
一斉に嘶いた

美しい理念は美しいまま
血の色をした地平へ沈んで往く

放射冷却されて冴えわたる
月もまた美しかったが

「やつらはバカに違いない」
疑うことなく馬鹿うましかは眠りについた




          《美しい馬鹿うましか:2015年9月20日》





自由詩 美しい馬鹿 Copyright ただのみきや 2015-09-21 06:01:32
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