真鍮の都
藤原絵理子


絨毯は 空に舞い上がって
塔や市場や 大きな川を見下ろす
初めて 飛行機に乗った時の記憶
風を耳元に感じることはなかったけど


ぼくは古びたランプを 本棚の後ろに
小難しげな専門書で隠して ずっと
いつか魔人が現れて 夢を叶えてくれたり
悪い奴を退治してくれたり なんて信じて


ひびの入った 真鍮の鐘が
不快な不協和音で 時を告げる
現実に引き戻して 心地よい季節の終わりを 


透明な十字架を背負って
坂道を登るぼくたちに 風はそっと
いつ着くかも知れない 峠からの景色を予言する





♪♪♪
【即興ゴルコンダ】に投稿しておきながら,忘れてた一遍…
関係者のみなさん,ご迷惑かけてごめんなさい♪


自由詩 真鍮の都 Copyright 藤原絵理子 2015-09-08 23:01:37
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