山盛りの果物の大皿
Lucy
今はもうないくだものを
ないお皿に山盛りに載せ
今はもうないお屋敷の
ないお客様に振る舞うため
両手に捧げ
運んでいく
彼女はもうない白いエプロンを着け
もうない芝生の上に
テーブルクロスを広げ
もうない歌を口ずさむ
突然光が
彼女のもうない目や耳を
轟音のようにつんざいて
もうない墓地の上を渡る
もうない夕方の涼しい風
もうないあの娘の
もうない思い出
もうみない夢
白い山々の向こうに昇る
もうない朝日
自由詩
山盛りの果物の大皿
Copyright
Lucy
2015-08-31 17:23:31