ベゴニアと蒼いトゥインゴ
セキラボ!







蒼いトゥインゴがエンジンを止めた
雨がしとしとと降っていて
少しだけ埃の匂いがする
人通りはあまりなく
時々カラフルな傘が
フランス生まれのトゥインゴを隠した

その頃僕は
ブラウン管をつけっぱなしのまま
耳を遠くすませていて
体中に雨音が満ちていた

ベランダに
ベゴニアの葉が若々しく燃えている
マルボロを取り出して
空を見て

ー雨雲ー

ワイパーが雨を弾く
蒼いトゥインゴはやさしく濡れていた
走り出したその先の空が晴れているのを
女は知っている
やがて
今日が過ぎていく
空からは無数の雨粒が降り注いでいるのは今だけ

ー雨粒ー

そして
窓を全開にして
雨粒を感じた
僕は

手を伸ばしてみる
ベゴニアの葉の上で屋根を作る
蒼いトゥインゴが今
目の前を通り過ぎた






自由詩 ベゴニアと蒼いトゥインゴ Copyright セキラボ! 2003-11-10 00:59:23
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