真鍮の都/即興ゴルコンダ(仮)投稿.68
こうだたけみ

五円玉の穴から覗けば見える都には雨が降り夏を追いまわし秋を連れてくる鈴虫の声高くお月見だ紅葉だと騒ぎ立てる人々をしりめに私は静かにしていたい静かにしていたい静かにしていたいだけなのに頭上のスピーカーは絶え間なくアナウンス/間もなく一番線に電車がまいります白線の内側に下がってお待ちください/私は待ってなどいない待ってなどいないただ前に進みたいだけなんて感傷的になるのは秋、色に錆びつく真鍮の都、雨。


自由詩 真鍮の都/即興ゴルコンダ(仮)投稿.68 Copyright こうだたけみ 2015-08-29 21:42:46
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