私の原点
Lucy
私の父は18の時に航空兵に志願した
飛行機乗りになりたかったのだ
もちろんお国のために
命を捧げる意義を信じて
間に合っていればきっと特攻に行っただろう
出征するはずだった日の1週間前に
戦争は終わった
父は飛行機乗りになるチャンスを失い
お国のために命を散らすこともなかった
父の目と鼻の先で戦争が終わったおかげで
彼の人生は続き
私は生まれた
敗戦の後に
訪れた平和
平和のおかげで
生まれ得た命
それが私
平和を勝ちとるために出撃し
片端から打ち落とされた航空兵達の
夥しい無念
痛ましい希望
続くべきだった一人一人の未来
勇敢に戦った兵士も
兵士でなかった人々も
大国の武力に殺された
彼らの「正義」によって
捻り潰された
命をかけて
戦った若者達のおかげで
平和がもたらされたのではない
犠牲になったたくさんの人々の無念の上に
私たちの平和はある
その人達のおかげでもないし
犠牲にたいして
感謝して褒め称えてすむような事ではない
犠牲を無駄にしないための
唯一の道は
国を挙げて突き進んだ
誤った道を
二度と再び踏まないこと
歴史に学ぶこと
記憶すること
考えること
努力すること
平和のための武力行使など
あり得ないと言い続けること
誰かの権力欲や
誰かの金儲けのために
防衛や平和という言葉を利用してはならない
私は私の息子や孫達の命が
国中の誰かの息子や孫達の命が
国の持ち駒として
使い捨てされることを拒否する