少年の話
あおば

           150827

孤独な青年ばかりが集まり
モダンな小学校を建てる
全員個室で授業を受ける
体育だけはプロテクターを着け
乱闘へのスキルを磨く
午後は、エアガンの実射訓練で過ごす
遠足は防弾チョッキにスタンガン
迷彩色のヘルメットも欠かせない
先生は、忍術の心得を持ち
着かず離れず、他人の振りして監視する
誘導する先生だけは派手な服に鳥打帽
ステッキにはスタンガンを忍ばせる
行く先は、足の向くまま気の向くまま
歩きに歩く、クルマに乗るときは
当然ヒッチハイク、旅費を浮かすだけでなく
大人の心理を研究させるのだ
日の丸弁当に現地調達の菜を付け
日に4回食事する
自由時間には、乱闘を奨励してあるので
生傷は絶えないが、それで、強い心と身体を
磨くのだ
そんな少年時代をすごしたという青年の目は
人懐こくて、真摯な光を絶やさない
乱闘することで仲間意識を養った
人の痛みも味わった
戦うことの虚しさも知った
人界を思うままに生きていくための
基礎訓練
スパルタ式かもしれないが
弱いもの苛めはしなかった
弱いものは進級できずに何度も挑戦する
そして基礎力が付いて、やがてはなんとか
卒業できるのだ
卒業後は普通の学校に進学する
怖いものの本質を知ったので
横道に逸れること無く、学芸に励める
気の弱そうな少年が、昼休みに話してくれた寓話が
いま、絶賛されて、流布してゆくのを見ると
本質を感じられない大人がなんと多いことかと
今更に呆れるのです

初出「即興ゴルコンダ(仮)」
  http://golconda.bbs.fc2.com/
  タイトルは、こはらあきさん。






自由詩 少年の話 Copyright あおば 2015-08-27 23:54:35
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