足跡と生きること
りゅうのあくび

裁きを待つ場所で
命を絶つことを
約束して
罪を贖う人間がいる
その人間による
真実の死によってでさえ
本当に世界の均衡なんて
保たれることは
ないのだろう
断頭台までの足跡は
ただ沈黙するだけで

巨大な災害だけじゃなく
犯罪や戦争に
備えることによっても
人間の命は
食事をして生きている
働くことが
人間本来の幸せであればこそ
人間は生きているのに
垣間見える
不幸の速度を
計算することだけだとしたら
果たして世の中を
ますます不幸にするけれども
想像だけでも
足跡は作られていく

驚くことも
できないのだけれど
どんな戦争においても
武器を持った
敵国の人間を殺めることは
犯罪ではなく
必至の仕事であったりもする
命が失われることなく
犠牲を生むことなく
人間として重い罪を
背負うこともなく
ただ平和を願うばかりだけれど

誰しもの足跡には
暑い夏の陽射しが
照りつけても

僕らはまっさらな現在を
探して歩き続けるだろう
少しずつ幸せな
未来へと近づきながら
ある意味では
過去にどんな不幸があったとしても
人間とはひとつしかない命として
生きていく足跡である


自由詩 足跡と生きること Copyright りゅうのあくび 2015-08-22 22:17:14
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