恋をする夜明けの森
りゅうのあくび

真夜中から
目を覚ます夜明けは
地球のどこかで
随分と消えていたはずの
絶望やら希望をも
まだ柔らかく包んでいる

颯爽として
朝食の準備をしながら
太陽の日射しがからっと音を
立てて佇んでいる

誰かに恋をして
時を数える
永遠の眩暈みたいに
木漏れ日は再び
地球に真夏の影を映しながら
深い森を創りだしていて

きっと
あらゆる樹々を彩る緑の
あいだにあって
誰しもが深呼吸をしながら
恋しい人に届ける未来だってさえ
胸の奥深く
すっきりとした情熱とともに
愛しさを静かに含んでいる
きっと微かな音として
森の夜明けに恋をしながら
木漏れ日は
そっと弾んでいる

あらゆることへと
募る想いのすぐ隣には
ささやかな幸せが
一瞬にも萌黄色に染まり
深い森のなかでも
恋心は鮮やかに響いて
凛とした風の音に
あふれている

静かに木漏れ日から
降りそそぐ音楽は
耀く言葉として
切望の彼方にあってもなお
誰かの切ない想いは
決して途絶えることはなくて
小さな希望を
明るく包みながら
涼やかな風とともに
ささやかな夜明けを祝福する

ちょうど夜空が
とどまっている
静寂の近くで
太陽が昇るときに
叙事詩の始まる音が聴こえる
きっとあらゆる出来事に向かって
悠久にある扉の鍵は開かれながら
木漏れ日の音がからりとして
澄み渡る夜明けは
恋をする森のなかで生まれる


自由詩 恋をする夜明けの森 Copyright りゅうのあくび 2015-08-20 22:01:26
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