怯える心
ヒヤシンス


 心はいつも籠の中。
 苦しさ紛れの言葉遊び。
 朝方の霧雨に煙る旅情。
 夜はまだ先。

 渓流の流れに似たひと時。
 我が腰の辺りを啄ばむ猛禽。
 湖でもがく 浮上の兆し。
 誰彼が黄昏る深い森。

 幾重にも塗りたくられた嘘。
 壊れかけた精神の扉。
 真実だけが切り取られた写真。

 ヘッドフォンを外すと聞こえる町の音。
 窓を開け放つと現実に襲われる。
 雨がしんしんと降っている。


自由詩 怯える心 Copyright ヒヤシンス 2015-08-20 10:21:13
notebook Home 戻る