記念日
瑞海


今日は朝から雨だけど
年に一度の特別な日
もうあれから何年も経つなんて
信じられない

この日のために
今までで一番努力した

ということを毎年のように言っている

少しでも綺麗でいたいとか
イタズラしないようにとか
へそを曲げないようにとか
ずうっと考えている
からソワソワしてるの
すぐバレる

あなたはこの日のことなんて
いつも忘れているから
今年こそは

何年か前の今日
ボロボロであった私を
快く家に迎え入れてくれて
温かいご飯とお布団が
あるという幸せに
気づかせてくれた
あなたは命の恩人

でも

私が
“ありがとう”
と言っても
あなたは
“お腹空いたの?”
と言う

ずっとずっと
言っているのに
どうやっても伝わらない
ああ
神様なんていないんだわ
こんなにも不平等なことって
他にあるのかしら

そんなことを思って
去年の今日は
ティッシュペーパーを
これでもかってほど引き裂いて
部屋中にばら撒いて
仕事から帰ったあなたを
困らせてしまったから
今年こそは

この前
新月の夜の流れ星に
“あなたとお喋りできますように”
とお願いしたから

きっと きっと
伝わりますように
きっと きっと
叶いますように


自由詩 記念日 Copyright 瑞海 2015-08-16 22:21:09
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