判定
為平 澪

ユニットバスの水平さの隅で 
私は猫の目になる前の棒っ切れ
コンドームたちの密会を
五秒の使用と三分で決定させる 
男と女の待ち合わせ

不在の子の存在を 赤い視線で映してみせても
喜んでくれる人より、しくじった、と、棄てられる先は
コンドームと同じゴミの中

  ナプキンやタンポンより役立たず
  コンドームみたいに便利じゃない
  のに、私を欲しがる、人たちは
  絶対零度の淋しさの、いち、より、
  不安と期待の二乗、を繰り広げ
  ドラックストアーで私を連れ去る

ユニットバスの冷たさに 抗う私の体温が
世界の不在を 二分する

放置された暗闇で 血眼になってく赤い筋

見開いたままの猫の目が
都会の茂みを 裁きつづける


自由詩 判定 Copyright 為平 澪 2015-08-15 20:27:24
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