インターネットを捨てよGoogleに投石せよ町へ出よう山を歩き海と語れ
オダカズヒコ



俺の住む町には一軒の本屋もない
町には大学の校舎と
学生マンションが立ち並ぶのに
近頃の学生が
本を読まなくなったせいか

俺は洗面台の前で歯磨きをしながら考える
ネクタイを結び
テレビをつけ
新聞を読み
ひげを剃り
欠伸をする

考えてみれば俺の頃にはインターネットもスマホもなかった
俺はやがて世界が斜めに傾きはじめた原因を悟りはじめる
ネット上は偏見と誤解に満ち溢れ
現実とは似ても似つかない情報でぎっしりだ
若者たちがその存在を定立させるツールとしては
あまりにもジャンクすぎる

人間から知恵を奪っていく媒体にアクセスし
人間を奴隷化する永久機関に繋がる
君たちの白痴化はきっと滅びの予兆だろう

いいかい?ネット上には嘘つき詐欺師しかいない
Googleは世界を没落させる死神だ
地下鉄の4番目のトイレで
スマホを片手に一人でこいている中二の道夫くん
君はその時点でボタンの掛け違えをしている
地下鉄という暗渠と
インターネットとスマホ
君の快楽は奥歯で噛みしめる人間のそれではなく
家畜の豚が貪る惰眠のそれだ

インターネットを捨てよ
Googleに投石せよ
町へ出よう
山を歩き海と語れ

いま君が握りしめているマウスは
決して世界と繋がっちゃいないし
実存を保証してくれるわけでもない

インターネットを捨てよ
Googleに投石せよ
町へ出よう
山を歩き海と語れ

人間の美しき脳を
キャラメルのような虚妄で固めるな


自由詩 インターネットを捨てよGoogleに投石せよ町へ出よう山を歩き海と語れ Copyright オダカズヒコ 2015-08-15 19:12:09
notebook Home 戻る