翼に鉛のピアス
ただのみきや

光で埋め尽くされて行く影
影で埋め尽くされて行く光

詩で埋め尽くされて行く空白
空白で埋め尽くされて行く詩

沈黙で埋め尽くされて行く会話
会話で埋め尽くされて行く沈黙

過去で埋め尽くされた今日この日
未来で埋め尽くされていたあの頃

 ――砂時計の囁き

愛で埋め尽くしたい その憎しみの記憶まで
憎しみに埋められて行く ある愛の遺骨

喜びがあふれ出し 悲しみのドアを押し開けた 
悲しみに侵食されて崩れて行く あなたの笑顔

死が いのちに飲み込まれた
死者として生きる 彷徨い人


まだ埋め尽くされてはいない
わずかな隙間がある

扉を閉ざすか 開け放つか
砂時計を返すか それとも

心は素直に望んでいる 迷うより早く
そうして後から たばかる理由を混ぜ返す



             《翼に鉛のピアス:2015年7月7日》








自由詩 翼に鉛のピアス Copyright ただのみきや 2015-08-14 21:35:25
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