「あるところに、帰るところはあるけど孤独な人がいました」
モリマサ公

「あるところに、帰るところはあるけど孤独な人がいました」
その声を聞いてると
繊細で色々あふれてるのはわかって
とにかくわたしは森の中で土下座している
必死で生きててごめんねが
毛穴から蒸発して苦しい
もうなんだっていいんだをさらに蒸発して苦しい
いつか肉体はなくなるしを蒸発して苦しい
iPhoneを全開にして
意味不明の声をだしながらワイパー時々動かして
窓をとじたら車の中ではわたしなんにだってなれる
悪魔 カマキリ 忍者 ニンジン 靴下
帰り道が間違っていていつのまにか遠くに来ている
カーナビはとても静かな生きものだった
ここはどこ?
あわててウィンカーを右に。
家は遠かった
何回も何回も蛇口をひねる
供給されるわたしたちの水
腐らないよこの水
なまぬるいよこの水
母親の声がしているきがする
腐りそうなつめたい野菜をずっと見ている
チャンスなんてなかった
産まれてきてからずっと。
父親の声がするきがする
包丁はのんびりと茎や葉を細かくしていく
人間だからね
平気 平気 平気
水中眼鏡
スケートパーク
スポークンワーズ
戦争
そう言えば誰でも納得
歓声があがる
血でかいた文字にモザイクがかかって
近所のモールで花が咲き乱れている
ゲリラ豪雨と竜巻の予報が流れている
必死で生きててごめんね
が大粒の雨にあたってくだけていく
わたしたちは壊れやすいようにできている
「あるところに、帰るところはあるけど孤独な人がいました」
パーツはいくらでもあるから
平気 平気 平気




 


自由詩 「あるところに、帰るところはあるけど孤独な人がいました」 Copyright モリマサ公 2015-08-14 00:31:09
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