かたっぽ
nemaru

コンビニをのがしてから
ひとけのない
やまあいの国道をずいぶん走った。

自販機のある消防分団の横にとめ
ポカリを買って
その場で少しだけ飲んだ。

隣家の枯れた生け垣の中に見える
ピンク色が気になったので
キャップを締めながら覗き込んだ。

手袋。
しかもかたっぽだけ。

また走った。



たまに
ちいさな靴のかたっぽが道端に落ちている。

事件性のない
さみしくもない
自分と重ねるにも微妙で
子どもの思い入れもないような。

かたっぽに哀愁がこもらない。
不透明な社会だと形容するほど大げさな話でもない。

埋め合わされて
入り込む余地がない。
再生能力が高い。
案ずる必要もない。



第一村人発見!


自由詩 かたっぽ Copyright nemaru 2015-08-06 23:48:00
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