夏日
葉leaf




こんな暑さを生み出すなんて
太陽はとんでもない偽物だ
それだけではなく
空も海もすべて偽物で
言うまでもなく
実は私も偽者である
では本物は一体どこに?
偽者の私の本物はどこへ行った?

戦争は至るところで起こっている
大気の微粒子同士の戦争
太陽から放射された光線同士の戦争
川を流れる化学物質同士の戦争
これらの複雑極まりない戦争に比べれば
人と人との戦争なんて
単純明快で分析が容易過ぎる

長くこの街に住んでいて
この裏切りの街で
裏切りの飲み会でしたたか酔い
裏切りの新聞を読み
裏切りの昼食をとり
裏切りの表情も上手になった

郊外は果樹地帯で
豊かな実りは例外なく素晴らしいもの
こんなに見事に憎悪の実が生りました
豊かで今にも溢れそうで危険です

苦い体から苦い汗が滴り落ちる
生まれたときから私の汗は苦かったのだ
私の死体を検死するとき
医者は迷わず「苦い」と書き加えるだろう

――廃墟としての私と
私としての廃墟――

建物に入ると
絶望が階段になって目の前を降りていく
光が光るという越権を繰り返す
希望は排水口から流れ出し
この建物は結論を留保し続ける
夏の結論を留保し続ける


自由詩 夏日 Copyright 葉leaf 2015-07-21 18:25:00
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