青と音
木立 悟






何かに咬まれた指を握り
真昼を渡り海岸に着く
砂浜には紙を追う鳥
波と共に現われ消える


海沿いの径に車は無く
皆ひとりひとり歩いている
砂の丘がつづいては途切れ
はざまから時おり午後が見える


短い光の会話のあと
水紋が幾つか影にひろがる
光は光に欠けてゆく
紙の鳥をついばむ鳥
波の頂は燃えてゆく


切り刻まれた息の端々
新たな飛跡 新たな径
いくら風が硬くなろうと
誰も帰ろうとしないのに
新たな青へと進むのに


紙の家が倒れ
鳥は群がり
紙も音も食べてゆく
砂浜の羽を
拾い集める背


海へ向かうものの列は止まず
陽は何処かわからぬほど高く
青はますます青く
鳥は集まり
音は消える
























自由詩 青と音 Copyright 木立 悟 2015-07-19 09:44:22
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