獣の夏
たけし

冷え切った指で太陽の熱を辿る
熱風が光と青の充満を掻き回している
柔らかな白肌は汗に滲んで
季節の変遷は雨上がりの翌日告知され
喘ぐ女に病苦を覆い被せる

爆発し続ける太陽は宇宙の透明を発散し
四肢と四肢の絡まり合いに愛はなく
烈火のごとき熱波降り注ぐとき
破裂寸前の雌雄の獣は四分五裂で絶叫する

天を見上げては悠久を嘲笑い 悪霊よ
地に沈み込んでは刹那を貪り 悪魔よ
崩壊する均衡に歯止めはなく
狂気は黄の視界を加速させる


■〇▲


ああ青天の霹靂! 

暗夜が 
熱を
冷まして
いく時、
静謐の木霊
響く自我
自らの在り処を
取り戻し
宇宙の神性に貫かれる


獣はただ人にのみ棲む


自由詩 獣の夏 Copyright たけし 2015-07-14 18:24:32
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