小指姫
るるりら

小指姫



清水のはじまりを
そっと草をひろげて
ゆびさきで たしかめるとき
七夕の日の心の岸部から
あなたの冒険が 始まります

笹船に乙女がのることができるとしたら
親指姫では ウエイトオーバーでしょう
舳先に ちゃんとつかまることのできる子は
やんちゃな兄さん指ではなく
姉さん指でもなく
小指ほどの子ではなくちゃ

こころを さりげない者に託す
七夕の日
わたしは一日中 テルテル坊主にような柔らかい布のドレスを着て
小指姫を想います 秘めた願いが あなたの小川を渡ります

雨がふれば
それは銀糸になり
夢と夢との間を渡す小舟を
小指姫が渡ります
たとえ
あなたにあえなくとも
こころとこころを 旅します


自由詩 小指姫 Copyright るるりら 2015-07-07 18:37:33
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