休養
葉leaf




体だけではない
体をめぐる血液も
体を覆う衣服も
方向から自由になったのだ
方向でないもの
例えば香りや手触りのようなもの
途端に私は対象になり
香りを発し誰かに触れられるものになった
方向がないから論理も倫理もない
論理や倫理以前の受動的な対象として
もはや私に意識はない

不意に私の周りは扉だらけになる
簡単に開く豪華な扉で
いろんな場所につながっている
だが私はひたすら扉の造りに感動するばかりで
扉を開こうとは思わない
扉の先にある希望も絶望も何も要らない
ただ扉があること
そこに意味を見出すことなく
無意味に扉の構造だけ眺めていたい

この詩は矛盾している
なぜなら休養している私に書く行為はできないから
この詩は言葉ではない
なぜなら休養している私は言葉を失っているから
この詩は始まらない
なぜなら休養している私は全てを終わらせているから
この詩は翻訳である
休養を何者かが勝手に翻訳したのだ

故郷にもさらに故郷があった
原点にもさらに原点があった
終着点にもさらに終着点があり
最果てにもさらに最果てがあった
休養はどこにも向かわない
確かにいえることは
休養にもさらに休養があるということ
そしてその休養にもさらに休養があり
今私はどの次元の休養にいるか解らない


自由詩 休養 Copyright 葉leaf 2015-07-06 15:53:55
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