自称詩人の首吊り
花形新次

自称詩人が首を吊って死んだ
アパートの隣人が
異臭に気付き
管理人が部屋に入って
ぶら下がっている自称詩人を見つけた

足元には遺書とみられる
便箋が置いてあったが
意味不明なので
管理人が鼻かみに使った
管理人が鼻をかむ前に
チラッと読んだ内容は
こんなものだ

「悲しみの七月」

小鳥が巣立つときは
雨は止んでいて欲しい

止まないなら
私がずっと
傘を差してあげる

真っ赤な傘を

小鳥に
傘のことを
思い出して欲しいから

思いきり目立つ
真っ赤な傘を
差してあげる


自由詩 自称詩人の首吊り Copyright 花形新次 2015-07-04 11:38:05
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